肛門の構造と機能
歯状線には肛門陰窩(こうもんいんか)という窪みがあり、その奥に肛門腺という組織があります。 そして肛門の周辺には内肛門括約筋と外肛門括約筋という、肛門を閉じる力を持つ筋肉が存在しています。これらの括約筋は内部にある便やガスを勝手に漏らさず、直腸にあるのが便かガスかを自然に区別していきながらガスをおならとして排出したり、便の硬さや太さに合わせて締める力を調整して排便したりするという、器用な働きを常日頃行っています。 また、内肛門括約筋と肛門の粘膜部分の間には、網目状に広がっている毛細血管が走っているふくらみ(肛門クッション)が存在しており、これがクッションの役目を持っています。
よくある肛門疾患としては、痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろう(あな痔)などがあります。これらの疾患は慢性化・重症化してしまうと、排便機能や肛門をしっかり閉じる働きに支障をきたしてしまい、患者さまの生活の質を著しく低下させてしまう恐れがあります。再発を防止しつつ心身共に負担がかからないように完治を目指していくためには、極力早めの受診を推奨します。
当院の肛門科診療
実際、そういった患者さまが後から受診しては、「こんなにすぐ済むのなら、なんでもっと早く治療しなかったのだろう」と後悔される話も多いです。 今まで患者さまのお悩みをお聞きしたところ、「どんな検査や診療を行うのかが分からなくて不安」「不安でつい受診をためらってしまう」という声もありました。 そこで当院の肛門科診療では、どのように診療・治療が進んでいくのかを、具体的に解説していきます。下記に診療の進み方を載せておりますので、ご覧ください。
受診の流れ
当院では消化器疾患の治療に幅広く対応しているので、肛門科のみのクリニックよりも気軽に来院・相談ができます。
受付
受付では症状に関するお悩みや受診する疾患について、第三者に聞かれないよう口頭での質問を控えていきます。
問診
受付時にご記入いただいた問診票を確認していきながら、現在お悩みの症状についてお聞きします。
診察準備
壁へ向かって横向きに寝て、軽く両ひざを曲げる姿勢(アベル体位)をとっていただきます。ズボンや下着を膝上まで下げる程度で済むので、この体位は比較的リラックスしやすく且つ恥ずかしい気持ちが軽減できる姿勢です。
ズボンと下着を下げたら大きなバスタオルでかくしていきますので、脱衣せずに済みます。診察時では、医師がタオルを必要な分だけめくって行うので、安心して診察できます。
診察
はじめは外側を観察する視診から実施していきます。次の触診ではゴム手袋をはめ、指を肛門へ挿入していき、しこりがないか、どのような状態になっているのかを調べていきます。触診時には痛みを軽減させるために、麻酔作用のある医療用ゼリーを塗っていきますので、ご安心ください。
触診が完了しましたら、肛門鏡などを用いて肛門内部を見ていきます。この時でも肛門鏡に麻酔作用のある医療用ゼリーを塗っていくので、痛みはゼロに近いです。 なお、無理に検査を強要する、診療を進めるといったことは決して行いません。安心して受診してくださいませ。
診断・ご相談
診察・検査結果や、現在の病状について丁寧に説明していき、そこから治療方法について話し合っていきます。必要に応じて、内視鏡検査など他の検査も実施する場合もあります。